ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
叫びそうになってしまってから、すぐに音量を落とす。
私たちの同居は、社内では高橋さんとノリちゃん以外知らない情報。大声で話すわけにはいかない。
「まままさかっ、そんなんじゃないってば。ノリちゃんも言ってたじゃない、ただのボランティアで拾ってくれただけって」
「あれは、副社長のあんな顔見る前だったもの。仕方ないでしょ」
「そう言われても……」
「あのトケそうな顔は、織江限定だよ。間違いなく。現にモデルのなんとかちゃんとのニュース、あれ以降聞かないじゃない」
「それは……そうだけど」
でも、彼が本気で私を、なんてそんなことあるわけない。
今はたまたま、私のことを気に入ってくれてるだけで。
基本的に構いたがりの彼の事、甘いカオくらいいくらだってしてきただろうし、もちろんこれからだって……。
反射的に嫉妬めいた感情を覚えてしまう自分にうんざりした私は、この話題はもう終わりとばかり勢いよく椅子へ腰を下ろした。
「とにかく、これはただの同居。じきに解消します」
「ふぅん、あらそう?」
ニヤニヤ笑いのノリちゃんを無理やり視界から追い出して、パソコンに向かう。
余計なことは考えちゃダメ。
だって今日はカレー作りというミッションがある。絶対残業できないもの。
仕事に集中しなきゃよね。
カレーかぁ。
今回は何カレーにしよう……せっかくだし、夏野菜いっぱい入れて……
考えているうちに醜い感情はフェードアウト。
鼻歌を歌うテンションに回復してしまう自分の単純ぶりに、こっそり顔を赤らめる私だった。