ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
ドクンドクンドクン……
落ち着いて、大丈夫。
気のせいよ。
あちこちに防犯カメラがあるから、そんな気がするだけ。
懸命に言い聞かせる傍から背後に足音まで聞こえてくるような気がして、呼吸が荒くなった。
「っ……」
もちろん、振り返ってみても誰もいない。
そう、大丈夫だってば。
誰もいない。いるわけない。
尾行? ごくごく普通のOLの私を? ストーカーされるような美人でもないのに?
バカね。気のせいに決まってる。
一体誰がそんなことするっていうの。
何度心の中で唱えても、不安は逆に膨らんでいく。
この1か月、平穏そのものだったから油断していたのは事実だ。
“S”との週末の交信は順調で、あちらは問題なさそうだったし。お見合いの話も、『先方の仕事が忙しくなかなか日にちが決まらない』って言われて安心してて……
まさか、貴志さんと同居してること、お父さんにバレたりしてないわよね?