ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
大丈夫。管理人さんは全然疑ってなかった。
大丈夫。落ち着いて。
けれどそんな思いとは裏腹に、何かに追い立てられるように私の歩みは速足に、それから小走りになって――
タワマンの全貌がようやく見える場所までやってきた私は、ようやく電柱にしがみつくようにして足を止め、上がった呼吸を整えた。
「はぁっはぁっ……」
額に流れる汗と、こめかみで脈打つ血流を感じつつ、もう一度、恐々肩越しに振り返る。
……ほらね、誰もいない。私のカン違いよ。
固く握り締めていたマイバックの持ち手からゆるゆると力を抜く。
よかった。
そう、誰もいな――ううん違う、車が1台、滑るように近づいてくる……外車のエンブレムが見える。
まるでデジャブだ、ってギクリとした。
前の時、そこに乗っていたのはキララで。
タワマンへ内見に行くって。じゃあ、この車は……?
その可能性に、さっきとは別の汗が滲みそうになった時。
「織江?」