ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
グツグツグツ……
イイ感じに煮込まれたカレーをかき交ぜながら、考えてしまうのは帰宅途中のこと。
レタスを千切りにしてしまったのも、そのことで頭がいっぱいだったから。
“S”に連絡した方がいいだろうか。誰かに尾行されてるかもしれない、って?
でも単なる気のせいかもしれないし……。
気のせいならいいの。
怖いのは、貴志さんに迷惑がかかること。
彼を巻き込んでしまうこと。
過熱を止め、余熱で煮込まないように鍋を鍋敷きへと移す。
それからシンクに寄り掛かって両手で顔を覆い、ともすると浅くなりがちな呼吸をゆっくり整えた。
さっき、路上で彼の声を聞いた時。
全身から全部の力が抜けるほど安心して、あと少しで泣きだすところだった。
それってもう、彼に全力で頼ってしまってるってことよね。
彼が傍にいてくれることが当然で、そのことに甘えてしまってる。
彼の存在が、私の中で大きくなりすぎてる。
彼が応じてくれないことを言い訳にして、ずるずる同居を続けているけど、結局その状態を望んでいたのは私の方。彼と過ごす日々があまりに居心地よすぎて、その先を考えることを無意識に拒否していた。このままずっと一緒に居られたら……なんて。夢みたいなことを……
それじゃダメだ。
もう本気で、終わらせなくちゃ。
さもないと……