ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
「永井一。ホームパーティーの時とかに、いつもうちが頼んでるケータリングサービスのシェフ。食材や調味料も全部持ち込みで作ってくれるから助かるんだ」
け、ケータリングサービス……なるほど、デリバリーとは違って、自宅にシェフが来てくれるってやつか。実家でも確か、キララの誕生日パーティーに呼んだことがあったっけ。あの時は彼女が呼びたいっていうゲストの人数が多すぎて、お継母さんがうちでは無理って匙を投げたんだった。でも今夜は……
「も、もしかしてお客って、私たち2人だけ、ですか?」
他にお客らしき影も見当たらないためドギマギしながら聞けば、あっさり「当たり前だろ」と苦笑された。
「デートなのに他に人、入れてどうするんだよ」
ドクンっ……
「で、デート……、ですか?」
夢見心地でつぶやく私を、不思議そうな眼差しが見つめる。
「デートだろ。なんだ今更」
「は、はい、すみませ、……」
なんなの?
一体今日はなんのご褒美!?
ともすると緩んでくる頬をギュッと両手で押し上げて、ダメダメ自惚れちゃ、と自分に強く言い聞かせる。
彼にとっては、女性と出かけることなんて日常茶飯事。
“デート”の認識が、そもそも私とは違うんだから。
頬を押さえたままブツブツつぶやく私をよそに、貴志さんはキッチンの方へと話しかけた。
「永井、あとどれくらいかかりそうだ?」