ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
小町通り散策の際、ジャムやクッキーといった“消えもの”ばかり買いたがる彼女を驚かせたくて、こっそり後から追加で購入したヤツ。
――あり、がとう、ございますっ……一生大事にします!
潤んだ瞳が、震える声が、彼女の深い歓喜を言葉以上に伝えてくれる。
サプライズプレゼント、と言えるほど大げさなものじゃない。ダイヤの一粒だってついてないただのガラス細工だから、そこまで喜ばれるとは思ってなかった。
もっと高価なものだって、彼女のためならいくらでもプレゼントするのに――と、肩を引き寄せて、その細いうなじへチェーンを回した。
夕食時に飲んだワインのせいか、指に触れる滑らかな肌はしっとりと薔薇色を帯びていて……
最初の夜を思い出し、卑猥な想像が掻き立てられた。
思い切り舌で味わいたくなる衝動をかろうじて耐えて、留め金を留めてから、彼女と至近距離で向き合う。
――……よく似合ってる。
はにかむ彼女を間近に見つめてつぶやいたオレの声には、隠しようのない満足感が滲んでいた。
そして、その時ようやく、自分が贈ったアクセサリーでこの人を飾りたい、と考えた自分の深層心理に思い至った。
もう、言い訳のしようがない。
彼女に抱くこの気持ちが恋愛感情で、どうしようもなく彼女に惚れているのだと、自分でも認めざるを得なかった。
思い返せば、兆候はあちこちにあった。
彼女のことがやたら気になって自然と目が追ってしまったり、Sという謎の存在に嫉妬して、彼女のことをもっと知りたくなったり。
嫌われるのが怖くて、なかなか手を出せなかったり。
強引に引っ越させ、専属かっていうくらい仕事を回したのも、独占欲というやつなんだろう。ユキと侑吾なら、“今更?”とでも言うかもしれない。