ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

嵐の夜に二人きり、そんな状況で告白して、吊り橋効果を狙ったんじゃないかと疑われたくはなかったし。
加えて彼女は、夕食時にかなりワインを飲んでいた。
本人も認めていた通り、彼女はそれほどアルコールに強くない。

あんなに勧めなきゃよかったんだが……酔って雰囲気に流されて、朝になったら忘れてた、なんて展開は最悪だろう?

いや、やっぱり考えすぎだっただろうか。
考えるより先に、行動すべきだったんだろうか、あの夜に。
もしかしてオレは、千載一遇のチャンスを逃してしまったのか……

後部座席のシートに体重を乗せ、また吐息をつく。
(ユキがギロっと睨んだ気配がしたが、知ったことではない)

鎌倉デートからそろそろ1週間、降ったり止んだり、連日雨模様が続いている。厚い雲に覆われた空は地の果てまでも続き、好天の兆しは見えない。
まるで、オレたちの関係のように。

原因ははっきりしてる。オレのせいだ。

あのデート以降、多忙を理由に会社近くのホテルに泊まり、マンションに帰っていないのだ。会社でも、彼女の視線から逃げたりして……

理由はたった一つ。気づいてしまったドロドロしたこの感情を、どうしたらいいかわからなかったから。

彼女の姿を見るともう、自分が野獣になる気しかしなかった。

ベッドに沈めて、思うさま喘がせて啼かせて貪って……ともすると、自分をコントロールできず、襲い掛かってしまいそうで恐ろしくなるほど。

昼間なら、社内なら、まだ理性が効いた。でも例えば夜、くつろいだ雰囲気の空間に2人きりになったら、石鹸の匂いを纏ったパジャマ姿の織江を目の前にしたりしたら、冷静でいられるか自信がない。だから、家に帰りたいのに帰れない、という実に情けないジレンマに陥っていた。

じゃあホテルならよく眠れるのかと言うと、そういうわけでもなくて。
彼女を想って溜まる熱を持て余し、悶々と寝返りを打つばかりで、結局寝不足の日々。

ユキが呆れた“辛気臭いカオ”は、こうして出来上がったのだ。

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