ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
「お帰りなさい、お疲れ様です」
「お疲れ様でーす」
「あぁ、お疲れ」
ユキと一緒に秘書室のフロアを通り、副社長室へ向かっていたところで、ガラス張りの休憩室にほっそりしたシルエットを見つけた。
鼓動が甘く高鳴り――次の瞬間、ギクリとする。
彼女は一人じゃなかった。
楽しそうに立ち話をしている相手は、確か営業部の奴じゃなかったか。なんで営業の人間なんかがここにいるんだ。いや、別にどこで休憩しようと会社側は制約していないから、別に構わないのだが。
それにしたって、距離が近くないか?
いや、笑いすぎだろう。何がそんなに面白いんだ?
イライラして、奥歯がギリッと嫌な音を立てる。
これは嫉妬だと考えるより先に、身体が動いていた。
ガラスドアを軽く叩いて薄く開けた隙間から顔を突っ込み、「山内さん、悪いけど今から急ぎで頼みたい仕事がある、できるか?」と極力淡々と用件を述べる。
パッと振り返った彼女は、「もちろんです副社長」と普段と変わらない様子で頷き、男へ頭を下げると足早にこちらへ歩いてきた。
自分を優先させてくれたことに昏い満足を覚える一方で、子どもっぽいヤキモチで彼女を振り回す自分に呆れてしまう。
何やってんだか……