ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「副社長っ! 週刊文冬ですが!」
「村瀬さん、週刊新流です! 中条さんとの噂は本当なんですか!?」
「副社長、副社長っ! リアルデイズです、ちょっとだけお話聞かせてくださいよ!」

「やめてください、入らないで! これ以上は入らないで!」

「ABCテレビです! 副社長、一言いただけませんか!?」
「KYテレビです! 何も言わないってことは、イエスってことでいいんですか!?」

「ちょっと下がって、ダメって言ってるでしょう!」

出勤途中の社員たちがざざぁって左右に分かれて作った道を、警備員と押し合いへし合いするマスコミ集団、そして一組の男女が進んでくる。

私の目は自然と、先頭を颯爽と歩く日本人離れした長身の男性へ惹きつけられた。

「副社長……」

私だけじゃない。周囲の女子社員たちはみんな足を止め、爽やかなライトグレーのスーツを着こなした彼をうっとり見つめている。

俳優かモデルか、っていうくらい恵まれたその容姿、そしてその洗練された佇まい――メディアに登場しない彼の生の姿を目の当たりにできるのは、この会社で働く者の特権だ、というのが女子社員の総意だろう。

この美貌でこんな大企業の副社長で、将来の社長とか。
神様も贔屓がすぎるでしょ、って声が聞こえてきそうだ。

未だに信じられない。

今きっちりアップバングスタイルに整えているあのダークブラウンの髪が、汗に濡れ、乱れて額に落ちたところを私が知っているなんて。

あの、どこか飄然としてクールな印象のアーモンドアイが、甘やかすように私を見つめたなんて。

パッと見は細身だと思ってたけど、脱ぐと胸板は厚みがあって、腹筋割れてたし、何も身に着けてない彼は、そりゃもうめちゃくちゃセクシーで……

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