ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
「そもそも私なんか、想うことすらおこがましいっていうか。あんな素敵な人……」
頬を歪めて目を伏せる私を、ノリちゃんが下から覗き込む。
「“なんか”って言わないの。諦めないこと、それが唯一の道だよ」
「諦めない……」
その言葉が決して上っ面だけのものじゃないことを、私は知ってる。
彼女には、子どもの頃から想いあう恋人がいるのだ。
“純金”の彼女は当然お嬢さまで、彼は使用人の息子。
学生の頃は毎日校門の前まで彼が迎えに来ていて、ラブラブで羨ましいなと思ったことは記憶に強く残ってる。
なんとか現在は同棲までこぎつけたものの、そこに至るまでにはいろんなことがあったそうで。理解のある理想の母親ってイメージのおば様相手でも、説得するのは相当大変だったらしい。
そんな彼女の“諦めない”という言葉は真に迫っていて、胸に響いた。
でも――……
私と貴志さんは、ノリちゃんたちとは違う。
2人みたいに、想いあってるわけじゃない。
私の一方的な片想いで、しかも私は……
「…………」
ぐるぐると渦巻く複雑な思いを抱えて何も言えなくなった私は、ブラウスの下に潜むペンダントを上からそっと押さえたのだった。