ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
その後、ノリちゃんの彼氏が迎えに来て、女子会はお開きに。
夜道は歩くな、と貴志さんから厳命されているため、ちゃんとタクシーを使ってマンションへ戻った。
広い部屋の中はシンと静まり返り、人の気配はない。
シャワーを浴びて出てきても、その空気は一ミリも変化していなかった。
明日が土曜日の今日なら、さすがに帰ってくるかなと思ったんだけど。
「また会えない、かぁ」
誰へともなくつぶやいて、リビングのソファへ腰を下ろした。
まだ真夜中前だし中国語の勉強でもしようかと思ったが、なんとなくそんな気にもなれず……テキストを投げ出し、大きすぎるソファの上で一人膝を抱える。
出ていくことは確定だとしても、できれば一言、顔を見てお礼を言ってから出て行きたい。ただ、避けられているのだとしたら……難しいだろうか。
諦めた方がいいのかも?
荷物をまとめて、あとはライン送るだけにしようか。
貴志さんは、今何をしてるんだろう。
まだ会社で仕事してるのかな、それとも接待で外食?
もしかして、美人なお姉さんのいるお店に行ったりして……
「あぁもうっ何考えてるの!」
妙な想像をしてしまった自分が許せなくて、ブンブンと頭を振る。
私は彼の恋人じゃない。
彼の行動を制限する権利はこれっぽっちもない。
「っ……バカみたい」
滲んだ涙をさっと払って、天井を仰ぐ。
土台、無理だったのだ。
未来につながりようのない関係を、続けていくことなんか。