ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
お客様のお付き合いで、パーティーでも行くの?
それなら、美人モデルを連れて行った方がよくない?
うぅ、わからなさすぎて頭痛くなってきた。
「後は靴とカバンですね」「私のおススメは――」といそいそ用意を始めたスタッフさんを鏡越しに眺め、私はこめかみを押さえた。
そこへ、コンコンと軽いノック音。
「あら、意外と早かったですね。もう準備はできてますよ。どうぞー」
答えを聞いてドアから顔を覗かせたのは、最初にここまで案内してくれた女性だ。
「失礼します。お連れ様がお着きになりました。さ、どうぞ中へ。準備は整っております」
後半部分を後方へ向かって言った彼女が、そこに立つ誰かへ場所を譲る。
コツン……
革靴がたてる硬い音が高く響いた。
ゆったりと、けれど決然とした歩調でやってくるその長い足を上へ辿っていった私は、胸がギュッと狂おしく締め付けられる心地がした。
そこに立っていたのは、完璧なタキシード姿の貴志さんだった。