ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
「突然こんなことを頼んで申し訳ないんだが、今夜銀座のホテルで開かれるチャリティパーティーに、オレのパートナーとして一緒に出てほしいんだ」
「え、……えと?」
パートナー?
どういうことかと首を傾げる私に、「最初から説明する」と、貴志さんは話し始めた。
要約すると、こういうことだ。
昨夜、彼は友人に頼まれて、モデルの中条瑠衣さんをバーへ迎えに行った。
絡んでくる彼女を、一緒に飲みながら適当にあしらっていたそうなんだけど、帰り際態勢を崩した彼女を偶然支えた際、そのシーンを週刊文冬の記者に撮られてしまったらしい。
実はそれは、中条さん自身が仕組んだこと。問い詰めるとあっさりその事実を認めた彼女は、それだけでなく、自分と結婚を前提に付き合ってくれるなら記事を止めさせる、と迫って来たとか。どうやら、今付き合ってる貴志さんの友人と上手くいかず、乗り換えようとしていたみたい。
つまり、昨夜貴志さんが纏っていたバニラの香水は、中条さんのものが移ったんだろう。まさか、裏にそんな理由があったなんて。
2人の間に何もなかったと聞いてホッとしたけど、記事が出たらどうなるの? 交際が既成事実っぽくなってしまわないだろうか……?
青ざめる私とは対照的に、貴志さんはなぜか楽しそうに口角を挙げている。
「な、なんか、余裕ですね?」
「まぁな。一応、解決済みだから」
「解決済み?」
続きを聞いて、納得した。
なんと昨夜の内に記者本人と連絡が取れ、すでに交渉が成立したというのだ。
曰く、翌日(つまり今夜)開かれるチャリティパーティーに現在付き合っている恋人と参加するから、掲載するならそちらにしてほしい。顔出しはNGだが、彼女こそがようやく見つけた自分の最愛の人であるということを、週刊文冬にだけコメントとして載せることを許可する――