ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「……はぁっ」

シンデレラ城の中か、と見紛うような凝った造りのパウダールームで放心して、どれくらい経っただろう。

さっきからスマホが何度かメッセージの着信を知らせている。
たぶん貴志さんだ。

きゃっきゃと騒がしい女性たちの声も近づいてくる。
そろそろ戻ろうかな。


「あぁあ~がっかり! ようやく本物にお会いできたっていうのに、彼、全然あたしたちのこと見てなかったよ」
「まさか女連れなんてがっかり!」
「どこの家の子だろ。見たことないけど。知ってる?」
「知らないわよ。あのパープルのドレス、素敵だったわね。相当お金かけてそうじゃない?」
「誰か、あの女の正体知らないかしら」


上の空だったせいだろう。
ふらふらと廊下に出た途端、向こうから来た人と肩がぶつかってしまった。

「あ、すみませんっ」

急いで謝ると、相手はドレスアップした3人組の女性。
同じパーティーの参加者のようだけど……なぜか、唖然とした顔でこっちを凝視してくる。

なんだろう? と疑問は過ったが、構わず足を踏み出しかけて。

けれどそこで3人組のうち私と肩がぶつかった、つまり一番私の近くにいたピンクのミニ丈ドレスの女性が、ふと怪訝そうな表情に変わったことに気づく。

知り合いだっただろうかと束の間こちらもマジマジと見つめ返し――ハッとした。

上から下までかなり盛った姿ではあったものの、紛れもなくそれは義妹(キララ)だったのだ。

ごく、と喉が上下した。

< 206 / 345 >

この作品をシェア

pagetop