ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「え?」

つい反射的にそのシャンパンが入っているらしきグラスを受け取ってしまって、パチパチ瞬く。

振り返ると、見知らぬタキシード姿の男性が立っていた。
30代前半くらい?
ひょろんと高い身長は、貴志さんといい勝負かもしれない。

薄い銀縁眼鏡の向こうですっきりした一重瞼の瞳を細め、その人はどこかミステリアスな微笑を浮かべる。
「君とは一度話してみたいと思ってたんですよ」

そのまま自分のグラスと私の持つそれを勝手にカチンと触れ合わせてくるから、戸惑いが加速した。

え、え、誰?
知り合い、ではないと思うけど……

「あの……、私をご存知なんですか?」

喉が渇いていたこともあって無意識にグラスを唇へ近づけてしまったが、ギリギリで貴志さんとの約束を思い出し、飲んだふりだけにしておいた。

「あぁ、ご挨拶が遅れて申し訳ない。霧島侑吾と申します。村瀬貴志の、まぁいわゆる幼馴染ってやつでしてね。あなたの話も、彼からよく聞いていたんですよ」

え、貴志さんの幼馴染っ?

「す、すみませんっ私、全然存じ上げなくて……」

「いえいえ、構いませんよ。紹介してくれないあいつがいけないんですから。よっぽどあなたのことが大切なんでしょうね」

「ぃいやまさかそんなっ……私たちはそういう関係じゃっ……」

急いで誤解を解こうとするものの、鷹揚に笑った霧島さんに「はいはい」と流されてしまった。

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