ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

でも――ここで体を繋げれば、それは彼の想いに応えることになってしまう。
それは許されないことだ。

心の中で繰り返し言い聞かせ、ぐらつく気持ちを必死の思いで現実につなぎとめる。

言わなくちゃ。期待を持たせることなく、ちゃんとはっきり。
一度寝たくらいで恋人面しないでほしい、あなたには興味なんてないんだと。

いっそのこと嫌いだと、それくらい言った方がいいのかもしれない。

頭ではわかっているのに、私にできたのは、涙を堪えて首をゆるゆると横に振ることだけだった。


「い、言えま、せん。言えない、んです……」


あぁダメだ。
言える、わけない。

例え嘘でも、冗談でも、嫌いだ、なんて……


「なぜ? 見合いのせいか?」

彼がそれを覚えていたことに驚いたが、躊躇いつつ視線を泳がせると、肯定だと彼は捉えたようだった。

「そんなもの、オレがぶち壊してやる」
「だ、ダメですっそれは」

涙目になって首を振る私の顎を、宥めるように長い指先が摘まむ。

「頼むから言ってくれ。オレと同じ気持ちだと」

目を逸らすことさえ許されない私の濡れた視界へ、切なげに頬を歪める彼が映った。

大好きな人にそんな顔をさせてしまう自分が、許せなかった。

好きです。大好きです。
誰より、あなたのことが……

叫び出しそうになる自分を、懸命に抑える。

ダメだ、言っちゃダメ。
すべてが台無しになる。
私は彼に相応しくない――

ぐ、と口を噤み続けていると、やがて焦れたように彼が覆いかぶさって来た。

「、っン……」

唇を塞がれ、あっという間に深いキスへ2人で堕ちていく。

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