ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
はぁ、っはぁはぁ……
お互いの乱れた呼吸だけが支配するベッドの上。
どれくらい、そうしていただろう。
しばらくして――「はぁっ」と頭上でひと際大きく息を吐く気配。
チラリと目だけを動かすと、貴志さんが勢いよく上着を脱ぎ、シャツも脱ぎ……
「貴志さんっ」
見事に割れた腹筋を目の当たりにして、やっぱり私を抱くつもりだと痺れるような頭のどこかで考える。
ダメだマズい、ワタワタと不格好に足掻いた私は、ベッドから落ちそうになった。
そこを掴まれ引き戻されて、そのまま一緒にシーツの波間へもつれこむ。
「だ、ダメ、貴志さ――」
「今夜のところは、これで我慢してやるよ」
「……え?」
どういうこと?
ぽかんと硬直する私を腕に抱き、貴志さんは上掛けをかけてくれる。
「貴志、さん?」
「織江の心も身体も欲しいからな。嫌われるようなことは、しない。したいけどな」
自嘲気味な笑いを漏らしてから、どこか不安げな眼差しでこちらを見下ろした。
「でもこれだけは聞かせてくれないか。オレのこと、嫌いじゃないよな?」
胸がいっぱいで、上手く言葉が出てこない。
優しすぎるよ貴志さん。
こぼれそうな涙を堪えて、なんとかこくこく頷いた。
「ん。なら、いい。今のところはそれで」
「す、みませっ……」
「ほら、いいからもう寝ろ。オレの気が変わらないうちに」
「は、はいっ」
慌ててぎゅっと目を閉じ、彼の胸元へ顔を伏せる。
が、好きな人と一緒のベッドで添い寝、しかも下着姿で素肌の一部は触れてるこの状態。絶対寝られるわけがない。
絶望して、朝まで悶々と徹夜コース、を覚悟した私だったけど――
ここしばらく不眠な夜が続いていたせいか、あるいは人肌の心地よさのせいか、やがてゆるりと、意識を手放していたのだった。