ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
そしてパーティー当日。
ドレスアップした織江は、神々しいまでに美しかった。
誰にも見せたくない、今すぐどこかに閉じ込めてしまいたい、そんな欲望に駆られるほど。
――……綺麗だ、すごく。
なんとか理性が勝って、その場に彼女を押し倒さなかった自分を褒めてやりたいと思う。ボキャブラリーがぶっ飛ぶくらいに動揺していたため、陳腐な言葉しか出てこなかったのは口惜しいが。
どうやら彼女の方も、オレの正装を気に入ってくれたようでホッとする。
冷静さを取り戻すまで、しばらく時間を要した。
彼女が綺麗すぎるのがいけないんだ。そうだろう?
自分に言い訳しつつ、尋ねられるまま昨夜の出来事とパーティーの目的とを打ち明けた。
――……む、無理ですそんなっ! どうして私なんですか? 偽の恋人役なら高橋さんでもいいじゃないですか。
ある程度予想していたことだったが、案の定彼女は拒否。
とはいえ、それくらいで諦めるようなオレじゃない。
織江しかいないのだと畳みかけると、大きな瞳が苦し気に揺れた。
――何もっ! しなかったじゃないですかっ鎌倉の夜! 私は対象外なんじゃないんですか!?
ドキリとした。
その言い方はまるで、オレからの何らかのアクションを望んでいるように聞こえたから。
舞い上がってしまう自分を一生懸命抑えて、逃げ出そうとする織江を捕まえて。
極力冷静に、もう一つの願い事を伝える。パーティーで酒は飲まないで欲しい、と。
酔いで誤魔化すことなく、きちんとこの想いを受け止めてほしかった。
そしてこれまでのやりとりからして、オレはその時ほぼ勝利を確信していた。
ところが――