ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
「……さぁな、まだどうなるかわからない。オレの方は本気だけど、解決しなきゃいけない問題もあるし」
肩をすくめて見せると、エメラルドの瞳が興味深そうに瞬いた。
「解決しなきゃいけない問題? 力を貸そうか。SDを使ってくれてもいいよ?」
「そんな簡単に言わないでくれ。キングにどやされるぞ」
ちなみに、キングというのはSDのリーダーのことだ。
「問題ないよ。SDはグループ企業を守るために存在してるわけだからね。君ももちろん、大事なファミリーの一員だよ?」
ニッコリ、天使のような微笑み。
人たらしぶりは相変わらずだな、と苦笑が漏れた時だった。
きゃっきゃと弾むような明るい声が中庭の方から聞こえてきて、オレたちはそろってそちらへ視線をやった。
瑞々しい緑が映える芝生の上で、まだ幼い男の子がたどたどしい足取りで子犬を追いかけている。それをジーンズ姿のスレンダーな女性が見守っていて、その傍らに……
「っ、え、侑吾っ?」
本人、だよな? なんでいるんだ、あいつがシンガポールに?
「……じゃあ貴志、久しぶりに会えて嬉しかったよ。何か僕にできることがあったら、いつでも遠慮なく連絡してくれ」
ピースフルな内容とは裏腹に、低く単調になった声が言った。
ライアンの纏う空気が一変した理由はわかりきってる。
オレはこめかみを押さえた。