ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
「はっ!? え? な、なんでですかっ!! どうして!?」
余裕が剥がれ落ちてパニックになるキララを一瞥した貴志さんは、不気味なほどゆっくり、私へと視線を移した。
そこに込められていたのは、たぶん――軽蔑。
「彼女を義姉と呼ぶなんて、まっぴらだ」
吐き捨てるように言って、踵を返した。
そのままドアノブを引きちぎる勢いで引き、足音高く会議室から去っていく。
「え、えぇっちょっと待って、貴志さぁんっ! ちょっとお姉ちゃん! どうしてくれるのよっ!! せっかく新しい服買って来たのにっ!! お姉ちゃんのせいだからねっ!!」
後を追うようにキララも駆けて行き……私は一人、会議室に取り残された。
……あぁ、終わった。
終わっちゃった。
私の、夢の時間が……
自虐気味に口角を上げつつ、机に散らばった写真をのろのろと片づける。
彼が残していったお見合い写真も……
お見合いはなくなった。
あの様子じゃ、キララとの話もないと考えていいだろう。
展開としては、悪くない。だから、これでいいんだ。
これでいい……
言い聞かせるように独り言ち、ぼやけていく振り袖姿の自分を、私は震えながら見下ろしていた。