ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

それからさらにお互いの持ち物を褒め合い、最新のトレンドについて情報を交換し合って2時間後、料理教室という名のお食事会からようやく解放された私は、運転手(監視)つきの車で代官山へ向かった。


「いらっしゃいませー」

絵本の中から飛び出したような、カラフルでメルヘンチックな店内に入ると、中は大勢の女性客で賑わっている。

店員さんに待ち合わせであることを伝えると、奥の4人掛けの席へ案内された。
涼し気な水色のワンピースを着こなしたその相手はすでに席についていて、こっちに気づくと椅子から立ち上がった。

「ノリちゃん、久ぶ――」
「織江っ!」

挨拶する間もなくノリちゃんに熱烈にハグされて、ちょっと恥ずかしい。

「ノリちゃん、とりあえず座ろうか? みんな見てるから」
「うんうん、ごめん。なんか感極まっちゃって。久しぶりだから」
「ラインでやり取りはしてたじゃない」
「そりゃそうだけど、本物だーって思って」
「何よそれ」

笑いながら向かい側の席に座る。

ドリンクを注文してから改めて正面に向き直ると、心配そうな視線とぶつかった。

「ねぇ織江、ちょっと痩せたんじゃないの? ちゃんと食べてる?」
「大丈夫だよ。さっきもフレンチのフルコース食べてきたし」
「フルコース?」

< 247 / 345 >

この作品をシェア

pagetop