ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
うわ……眩暈がする。
サイアク、と評した気持ちがよくわかった。
「それからは、コピー取りとか掃除とか、その程度しか頼んでない。だって、機密書類を外部に流されるかもしれないってことでしょ。怖くて誰も何も頼めないって」
「ほんとにごめん……なんて言っていいか……」
頭を下げるしかない私へ、「織江のせいじゃないわ」と励ますような声が言う。
「言ったでしょ、派遣会社もその辺わかってるみたいで、指導者役でもう一人送り込んできたって。だから大丈夫よ。なんとかなる。でも副社長のことは? 一体何があったのか知らないけど、あの子、自分は副社長の婚約者だとか言いふらしてるのよ?」
ドキッとした。
「それは……さぁ、どうなんだろ。副社長が決めることだから」
――彼女を義姉と呼ぶなんて、まっぴらだ。
めちゃくちゃ怒ってたし、あの感じだとまずお見合いはないと思う、けど。
キララは確かに可愛いし、甘え上手だ。
2人の距離がもし近づいてしまったら……
チリチリと微かな胸の痛みを覚えうつむいた私の額を、ピンと指が弾いた。
「ったぁ……ノリちゃん、痛い」
「何が『副社長が決めること』よ。そんな呑気なこと言って……だいたい、あの子恋人いたでしょう。織江から盗った、あの彼! わたしよっぽどみんなの前でぶちまけてやろうかと思った」