ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「あ、佐々木君とはもう別れたみたい。私もついこの間聞いたばかりなんだけど」

苦笑いして言うと、「はぁ?」って真向かいの眉間へギュギュっと皺が寄るのが見えた。

「なんなのよ、ふざけてない? だって、それがあったから織江は前の会社に居づらくなって辞めて、派遣になったわけでしょ? 姉の人生変えておいて、あっさり別れて別の男に行くとか……信じられない」

理解の範疇を超えた、と言わんばかりに首をふられ、もう返す言葉が見当たらなかった。

「ねぇ……織江は、このままでいいの?」
ふとノリちゃんの口調が変わる。

「実家の言いなりになって会社(うち)も辞めて、妹にまた人生奪われて。それでいいのかってことよ。まだ次の会社で働くこともできてないんでしょ?」

「それは、研修中だから。研修が終わったら、配送センターで働くことになってる」

言い訳のようにもごもごつぶやくと、揺れる気持ちを見透かしたようなきつい視線が突き刺さった。

「研修? 3週間も? それで何やってるのよ、実家の家政婦じゃないの。このまま織江のこと家に縛り付けて、飼い殺しにするつもりに決まってるわ。今日だって、会うのが純金(・・)のわたしじゃなきゃ、あの継母(ままはは)、外出を許してくれなかったんでしょ?」

「……今は今で、結構のんびり楽しくやってるよ?」

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