ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
当たってるだけに、反論にも力がない。
引き攣りながら口角を上げてみたものの、「しっかりして!」と伸びてきた手に肩を揺さぶられた。
「どうしちゃったのよ、織江らしくないよ! 普段は大人しくても、言う時はビシッと言うし行動できる、それが織江でしょ? 大学卒業した時だって、有言実行で家を出て一人暮らし始めたじゃない。彼氏が浮気した時だって、婚約破棄だってバシッと言ってやったでしょ? なのに、なに? いきなり妹に居場所譲っちゃうわ、はいはいって親の言いなりに家政婦やっちゃうわ、やりたくもないお稽古事まで……そもそも、どうしてあの家に戻っちゃったのよ!?」
がくがく揺れる視界が、内緒だけど潤んでいた。
本気で私のために怒ってくれてるってわかっていたから。
その気持ちが嬉しかった。
嬉しかったけど……今は何も言えない。今は、まだ……
心の中でつぶやき、震える唇をギュッと結んだ。
そこへ。
「嶋さん、少し落ち着きましょう? みんなこっちを見てるわ」
聞き覚えのある冷静な声がして顔を上げると――休日だからなのか、珍しいパンツスタイルの高橋さんが立っていた。
「山内さん、ごめんなさいね。あなたと話したくて、彼女に無理言って呼び出してもらったの」
高橋さんから目配せされたノリちゃんは、しぶしぶといった風に立ち上がる。
そして泣きそうな顔でこちらを見た。
「織江だって、幸せになっていいんだからね? 幸せになりたいって思うのは悪いことじゃないんだよ?」
「……うん」
「一人で抱え込まないこと。定期的に連絡くれること。絶対よ、いい?」
「うん……わかった。ありがと」
ノリちゃんが立っててくれてよかった。
今水平以下に顔を向けたら、確実に涙がこぼれていたから。