ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
怒りと、それを上回る恋情と執着心、劣情と独占欲――必死にせき止めてきた感情が爆発し、胸の内を瞬く間にどす黒く覆っていく。
気づけば、口が勝手に動いていた。
「そんなに金が好きだとは知らなかった。最初から言ってくれたら、浴びるほどくれてやったのに」
「……あの、貴志さん? 何か誤解なさってませんか?」
戸惑ったように瞬く彼女を無視し、封筒をカウンターへ叩きつけるように置く。
そして隣の男へ、「この金は別の女に使ってくれ。彼女はオレが先約だ」と伝え、細い腕を掴んだ。
「ちょ、ちょっと待ってくださいっ」
抵抗する彼女が憎らしかった。
オレの方が、こんなむさ苦しいクマみたいな男よりずっと気持ちよくさせてやれるのに。
衝動のまま、無理やり彼女の身体を抱きかかえてスツールから降ろし、引きずるように店の出口へと向かう。
「ちょ、……彼女をどうするつもりだ?」
金縛りから解けたように男がようやく追いすがってきたが、織江が引きつった顔で制止した。
「今井さん、彼は知り合いなので大丈夫です。騒ぎになったら大変ですから」
微笑んですら見せる冷静さが、オレを煽った。
その余裕をはぎ取ってやりたいと、狂おしく鼓動が暴れる。
引き返すことは、不可能だった。