ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

オレはそのまま、フロアを通ることなく直接、中2階にあるVIPルームへ案内された。この店に来る時はいつも使っている部屋で、片側の壁全面が窓になっており、1階フロアを見渡せるのが特徴だ。

室内のヴィンテージ調の家具は、すべて落ち着いたダークトーン。ギラギラしたシャンデリアや額ばかり派手な絵画などの装飾品もない。このシックな雰囲気が、オレは割と好みだった。

織江と暮らし始めて極力夜の接待は避けていたから、自然と足が遠のいていたが……今となってはどうでもいい。

ソファに全身を預け、何度か接待の席に呼んだことのあるホステスがオレ好みの酒を作ってくれる様子をぼんやりと眺める。

大胆に露わになった白いデコルテは何かを塗ってるんだろうか、キラキラと粒子が輝いていて、そして……

「そのペンダントは、男からのプレゼント?」

胸元で輝く大きなルビーを指して聞くと、女はきょとんとしてから、くすくすと笑い出す。

「意地悪な質問なさるんですね。もしそうだと言ったら、妬いてくださいます?」

あぁそうか、と気持ちが冷えていった。
織江があれをつけていたのも、他の誰かの嫉妬心を煽るためかもしれないな――

「どうぞ」

差し出されたグラスを受け取り、乱暴に中身を呷ると、喉の奥がカッと焼け付くように熱くなった。

「あらあら。村瀬様がそんな飲み方してらっしゃるの、初めて見ました」

ソファがわずかに撓み、ココナツのような南国風の甘い香りが近づいてくる。

「そうかな……そんな驚くことか?」

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