ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「どういうことですか? 載ってませんよね? 約束が違います!」

その夜、自室で片手にスマホ、片手にリアルデイズ最新号を持った私は、困惑して叫んでいた。

『いやぁ、あははは……』

電話の向こうで機嫌を取るように笑うのは、昼間から何度も連絡してようやく捕まえた今井さんだ。

『ほんと、申し訳ない。大きなネタが入ってきちゃって。編集長のツルの一声で、こっちで行こう、って決まっちゃった』

「決まっちゃった、って……あれほど約束してくださったのに」

話は全くかみ合わず、かつてない重苦しい雰囲気に違和感が沸く。

「じゃあ、来週号で取り上げていただけるんですか?」

期待を込めて返事を待つ私の耳に届いたのは、『それが……』と心もとない声音だった。

『ちょっと、約束はできないんですよ。特ダネがあれば、そっちを優先させるのはマスコミの使命ですからね』

「そんなっ……じゃあ、ネットニュースっていう形でも構いま――」
『実はね』

「え?」

聞き返すと、向こうで何度か躊躇うような咳払いが聞こえ、ようやく相手は切り出した。

『やっぱりネタとしては弱いかなぁと。読者はセンセーショナルな内容の方がウケてくれますからね』

「でも、今井さんは大丈夫だって……」

『まぁ言いましたがね、正直気は進まなかったんですよ。たぶん他誌さんに持って行っても、同じことでしょうね。申し訳ないが、ここらで引かせてもらいますよ』

「え、ちょっと待っ」

ブツリ、と通話は途切れた。
ツーツーっとむなしく響く音が流れる中、呆然と立ち尽くす。

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