ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「「「え?」」」
え?

「山内社長から最初にお話があったのは、かれこれ2年前でしたか。その時はお断りしましたが……その後派遣社員として織江さんをわが社に迎えることとなり、これも縁かと社内での働きぶりを観させてもらいました。やはり人柄というのはね、日々の勤務態度や周囲の評判から察することができますからな。そして彼女ならと思い、今回この見合いを息子に持ち掛けたわけです」

優しく励ますように頷かれ、泣きそうになってしまった。社内でお会いする機会はそれほどなかったはずなのに、ちゃんと見ていてくださったなんて。

「それを何ですか、織江さんが見合い写真を取り換えた? 先日も言いましたがね、息子から私がその話を聞いて矛盾を感じないとでも? それとも、私がご姉妹の見分けもつかないほど耄碌しているとお考えだったんですか?」

「や、いやそれは、そんなことはその……」
狼狽え、しどろもどろになるお父さん。
お継母さんとキララも、気まずそうに視線を泳がせている。

「山内さんが妹さんの方を推したがっていることは、わかりますよ。最近婚約を破棄されたそうですから、新しい相手として貴志に目を付けたんでしょう? しかしね、我々が会いたかったのは織江さんであって、キララさんではない。姉妹だからどちらでもいいだろう、というのはあまりにも、うちに対しても娘さん二人に対しても、失礼ではありませんか?」

予想以上に手厳しい追及が続き、しきりに汗をぬぐうお父さんの姿が目の端に映った。

正直に言おう。
嬉しかった。

自分の存在を認めてくれる人がいる。
認めて、受け入れようとしてくれる人がいる。

お母さんが亡くなってからずっと空っぽだった心が、ひたひたと温かいもので満たされていくような心地がした。

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