ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
おずおずと視線を上げると、正面に座る貴志さんと目が合う。
どうして彼は、パパ活の話を社長にしなかったんだろう?
別に、かばってくれたわけじゃないと思うけど。
単にめんどくさかっただけ、とか……?
無言のまま怜悧な眼差しを見つめるも、そこに答えはない。
まぁいいか。
おかげで最後にもう一度会えたんだもの。
貴志さん。
あなたに会えて、恋をして、本当に幸せでした。
どうか、あなたに相応しい女性と出会って、素敵な家庭を築いてください。
遠くから、あなたの幸せを祈っています――
心の中でつぶやいていると、
「それでは……えぇと、キララはお母さんと一緒に帰りなさい」
お父さんのささやきが聞こえた。
「嫌よ、どうしてあたしがっ」
「そうですよ、あなた、もっとキララさんのいい所をアピールしなくちゃ!」
「お姉ちゃんのパパ活のこと、言えばいいじゃないっ。お父さんから言ってよ!」
「うるさいうるさいっ! いいから早く出て行けっ」
小声でみっともないやり取りを繰り返す家族を横目に、私は大きく息を吸い込んだ。
そして。
「……申し訳ありませんっ!」
声を上げるなり後ろへ下がり、畳に額をこすりつけるようにして頭を深く下げた。
「大変心苦しいのですが、このお話はなかったことにさせてください!」