ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
『仕方ないだろ、助けてくれって頼まれたんだ。人助けだよ』
『脱税の片棒を担ぐことのどこが人助けなんだよ! 犯罪だろ、犯罪をビジネスにしてるんじゃないか、僕たちは!』
『抜けたいなら抜けていいぞ。抜けられるものならな』
『っ……卑怯だよ、兄さんが始めたんじゃないか! 僕は反対したのに!』
『だが、登記上の社長はお前だ。実際に動いているのもお前。「弟が勝手にやったことだ」と証言してやったっていいんだぞ?』
『そんなっ……』
ピッと再び小さな音がして、会話が途切れた。
貴志さんが停止ボタンを押したのだ。
その時にはもう、会話の人物が少なくとも片方は誰なのか、その場にいた全員が理解していた。視界を動かさなくても、その人物――塩沢の膝に置いた手がぶるぶると震えていることがわかる。
つまり彼らはコンサル業務の影で企業の脱税を手伝っていて。それがバレるのを恐れて、私がこれ以上彼らを調べないようにしたかったってこと?
じゃあやっぱり、一星も……
「内藤武彦。両親の離婚で姓は違うが、正真正銘お前の弟で、栄光コンサルの代表だな。彼は、すでに証拠を揃えて警察に提出予定だそうだ。もっと早くに決断すべきだったと後悔していたよ。――あぁ、念のため言っておくが、彼のことはリーズグループの息のかかった場所で保護している。大事な証人がうっかり消えてしまうようなことがあっては困るからな」
その言葉が決定打となったように、がくっと塩沢の肩が落ちた。