ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
心配になって貴志さんを見ると、彼はまだまだ余裕の表情だ。
そして、座卓の上のスマホを取り上げると、何やら操作してお父さんに差し出す。
受け取ってそれを目にした途端――
「っっ!!」
ただでさえ動揺で血色の悪かったお父さんの顔が、紙のように真っ白になった。
あわあわと声にならない悲鳴を上げているのが見て取れて、一体何がそんなに動転することがあるのかと、私と、そしてお継母さんも身を乗り出した。
表示されていたのは隠し撮りらしい写真だ。
お父さんとアラサーくらいの綺麗な女性のツーショット。
「どうぞ、画面をスライドしてみてください。まだまだいくらでもありますよ」
貴志さんの声に操られるようにお父さんの震える指が画面を滑り、2枚目、3枚目をめくっていく。
親密そうに腕を組んで歩いているところ、バーでお酒を飲んでるところ、ホテルらしき建物に入って行くところ……それはもう、誰が見ても間違いなく、不倫の証拠写真だった。
「ああああ、あなたっこの女……美鈴じゃありませんか! どういうことなのっ!!」
え、一体誰?
私が視線を向けると、貴志さんが「メイリン・ワン。一星グローバルマネージメントの代表だ」と教えてくれた。
そうか、それでお継母さんも知り合いだったのか。
「いや、その、なんで……こんなものがっ……」
空調が効いている室内にも関わらず、お父さんの額は大量の汗でテラテラと光ってる。
「彼女はすでに、白旗を上げましたよ。山内社長には相当美味しい思いをさせてもらったんでしょうね。かなり粘られましたが、リーズグループを敵に回すリスクを理解できないほど愚かな女ではなかったようだ」