ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
どの夜のことを言っているのか、すぐにわかった。
そんな、謝ることないのに。
私は抱いてもらえて幸せだったんだから。でも、あぁ、もしかして……
「もしかして、それで責任を取ろうとしてくださってるんですか? もしそうなら、それは不要――っひゃ」
最後まで言わせてもらえないまま、伸びてきた彼の腕に腰を引かれ、私は抱きしめられていた。
「ちょ、貴志さっ……」
「……どれほど嬉しかったかわかるか? 今井から話を聞いて、あの金が不純なものじゃないと知って。織江がパパ活なんてしてないって知って」
うなじにかかる熱い吐息を感じて、ゾクリと震えた。
「は、放して、くださ――」
「不正を調べて、見合いの前に公表しようとした理由は、オレなんだろう? 見合いを破談にして、オレの将来を守ろうとしたから」
「ち、違いますっ! ぅ自惚れないでくださいっ私は、罪の意識に耐えられなく、てっ……」
逃げようとする私の抵抗を許さず、ますます深く抱きすくめる貴志さん。
とくとくと交じり合う鼓動がどちらも同じスピードのような気がして、眩暈がした。
「じゃあどうして、初めての相手にオレを選んだ?」
「っそ、れは……」
「両親の不正を告発する前に最後の冒険がしたかった? 誰でもよかった? だとしても、最悪の選択だろう。勤め先の副社長で、見合い相手だ。真面目な君がそんな危険をわざわざ冒すとは思えない。考えられる理由はただ一つ――オレじゃなきゃダメだった」