ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「っ!」
弾かれた様に顔を上げる私に長い指が伸びてくる。
頬へ、耳へ、愛おし気に触れられて、きゅんと胸が甘く疼いた。

言えたらいいのに。
好きですって伝えて、何も考えずにこの胸に飛び込んでしまえたら……。

でも、ダメなのだ。それだけは絶対に――と、心の内で葛藤していると、そんな私をしばらく見つめていた眼差しが、ふと諦めたように苦笑を滲ませた。

「わかってるさ。きっとオレが何を言っても、それ(・・)が恋愛感情だと認めてはくれないんだろう? パーティーの夜も、ついに好きって言ってくれなかったしな。だとしたら、オレとしても強硬手段に出るしかない。家業を人質に取られれば、優しい織江なら従業員のことを思って受け入れる他ないから」

「そん、な……」
「卑怯だと、責めるなら責めればいい。分かれよ、それくらいオレは本気で織江に惚れてるんだってこと。リーズグループのかなり上の方まで動かしたのも、全部全部そのためだ――織江のことが、欲しいから」

こちらをひたと見据える澄んだ双眸から伝わってくるのは、揺るぎのない強い愛情で……魂まで囚われてしまったのか、私は身動きもできなかった。

「悪いが、オレはもう遠慮する気はさらさらないぞ。織江の選択肢は、オレの花嫁一択だ。何も心配することはないし、何があっても全部受け止めてやるから、早く諦めて、オレに愛される覚悟を決めろ」

好きな人からこんなに想われて、嬉しくないはずがない。

揺れる想いを抱えて、浅い吐息をこぼす。

そんなの、嬉しいに決まってる。
もちろんそれは間違いないんだけど……でも、私はどうしても自分が彼に相応しいとは思えな――



「危ないっ!!!!」



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