ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
「「え?」」
2人そろって顔を上げると、福々しい笑顔がこちらを見ていた。
「複数の、それも真逆の花言葉を持つ植物、というのは少なくないのですよ」
ふ、複数?
「紫陽花の場合は、植える土の酸性度によって花の色が変化することから“移り気”という花言葉が、また、小さな花が集まって大きな一つの花を形成しているように見えることから“家族”という花言葉が生まれたと聞いています。どちらかが間違っているということはありませんから、お好きな方で楽しまれればよろしいのではないでしょうか」
どちらかが間違っているわけではない……じゃあ、お母さんは……
お母さんは……それを知ってた? 知らなかった? どっち?
思い巡らせる私の横で、貴志さんが「“浮気”と“団らん”って、違いすぎるだろ」とか、ブツブツつぶやいている。
「え、じゃあ織江、そのペンダントつけるの、嫌だったんじゃないか? 受け取った時に言ってくれればよかったのに」
心配そうな視線が私の胸元へ寄せられていることに気づいて、もちろん急いで首を振る。
「これはっいいんです! 大好きな人が初めてくれたプレゼントですよ? 嬉しくないはずが――」
言葉が、ぶつりと切れた。