ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
配慮?
『うちに就職しないなら、大学までにかかった教育費用を全額払え』って脅しといて、配慮? 吹き出しそうになった。
それでも、必要とされてることがほんの少し嬉しくて一星に入社してしまった当時の自分は、随分おめでたかったと思う。
働き始めてからすぐに後悔した。
コストカットと人員削減の果てに、華やかなデパートの表側とは裏腹に、内部はマウントの取り合いと密告の嵐でドロドロのぐちゃぐちゃ。
離職率も高くて、常に人手不足で。
ただその穴を埋めるために、人材が必要だっただけだってわかったから。
2年半前のトラブルのせいであそこを離れることがなければ、いずれ確実に心を病んでいたと思う。
それでも、それをお父さんの配慮だって、感謝しないといけないの?
言いたいことは山ほどあった。
口から今にもそれが飛び出しそうになった――が、なんとかその場は堪えた。
そして、「わかりました。結婚が決まったら退職します」と従順に頷いておく。
何を言っても、この人たちに私の言葉が届くことはないってわかってるから。
それに……計画通りコトが進めば、どのみち仕事は辞めることになる。
落ち着きを取り戻した私は、話がこれだけならもう帰ってもいいかな、と突っ立ったままドアの方へ虚ろな目を向けた。
そこへ。
「たっだいまぁ!」