ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「ごめんねぇ。キララばっかり幸せになっちゃって」

長い巻き髪に指を絡めつつ、緑色に潤む瞳(カラコンだ)でこっちを見上げる。

少しも悪いと思っていない、優越感にあふれたその上目遣いは、同じだった。2年半前、私の元カレ――当時は彼氏――佐々木君との関係が私にバレた時のそれと。

今更彼に未練なんてこれっぽっちもないけど、それでもあの時を思い出すと、やっぱり心穏やかではいられない。
当時は本当に辛かったし、そのせいで仕事も続けられなくなって……


「ねぇねぇお父さん、キララ、やっぱりお色直しは5回やりたい!」

「キララさんなら何を着ても似合うでしょうねぇ」
「お母さんもそう思うでしょう?」
「もちろんですよ」
「彰さんのところのデザイナーが、特別に全部オーダーメイドで作ってくれるって言うの」
「まぁよかった。さすが人気ファッションブランドの御曹司ねぇ」

「お父さんお父さん、それからね、結婚のお祝いに車が欲しいなぁ。フェラーリがいいんだ! 友達に乗せてもらったんだけど、もう加速がヤバすぎっ!」

「し、しかし、お前、もうベンツを持っとるじゃないか」

フェラーリと聞いてさすがにお父さんの顔も引きつっていたが、女性陣の勢いは止まらない。

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