ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
どうしよう……私、もしかしたらとんでもないことを……
って、もう起きてしまったことはどうしようもないんだけど。
2人が付き合ってるのか、ちゃんと確かめた方がいいのかな。
といっても、どうやって? 本人に聞くわけにいかないし……。
せっかく副社長があの夜の女は私だって気づいてないのに、余計なことをすれば墓穴を掘ってしまう。
覚束ない足取りでフロアを横切り、なんとか隅っこの自席に崩れ落ちる。
やっぱりあんなこと、するんじゃなかった。
思い出が欲しい、なんて私のワガママに彼を巻き込むようなこと……と、頭を抱え込んだ時だった。デスク上の電話が鳴り出した。
RRRR・・・
心ここにあらず、といった感じだったが、いつも繰り返している作業だからか、自然と手が伸びた。
「お電話ありがとうございます、リーズニッポン秘書室・山内がお伺いいたします」
『あぁ山内さんお疲れ』
電話は、たまに翻訳を依頼してくる営業部の人からだった。
もしかしたら、また急ぎで何か頼まれるのかも。
しっかりしなくちゃ、と自分を叱咤。
なんとか耳に意識を集中させたが、話は想像していたものとは違った。
『嶋さんて、今そっちにいる?』
「あ、はい。お待ちください、ぇえっと……」
視線を巡らせノリちゃんが自席にいないことを確かめてから、そういえばと思い出す。
「今日は一日、専務と一緒に外出の予定ですね」
私が答えると、相手は『あぁそっかぁ』とすぐそれとわかる暗い声音で呻いた。