ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
もう、何も後悔はない。
例え彼と、二度と会えなくなるとしても――
「なぁ名前……って、……ちっ……暴走した。仕方ないな、朝になったら……」
遠くの方で微かな舌打ちと声とが聞こえたけれど、私は答えなかった。
朝チュンなんて展開にはなりようがないことを知っていたし、何より答えるだけのエネルギーが残っていなかったのだ。
何度も何度も心地よい眠りの波が打ち寄せ、こっちへおいでと誘惑する。
そのたびに、腕を抓って眠気をなんとか耐え続けた。
どれくらい経っただろう。
隣で眠る彼の規則正しい呼吸を確認してから、そっと体を起こす。
サイドテーブルのデジタル時計は早朝4時を表示している。
やっぱり少しだけウトウトしてしまったみたいだ。
もう行かなくちゃ、と自分の身体に巻き付いていた長い腕を外した。
一瞬彼が身じろいでドキッとしたが、意外にも深く眠っているらしく、大丈夫だった。
昼間の隙のない姿からは想像もできないくらい無邪気な寝顔を見下ろして、罪悪感に駆られながら心の中で手を合わせる。
ごめんなさい、副社長。
あなたを騙して処女をもらってもらうなんて、本当に最低ですよね。
こんなこと最初で最後だから。
もうあなたの前から消えるから。
だから、どうか赦してください。