ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
幸い会議室には余裕があったため使用許可を取り、急いで1階の総合受付へ。
「お疲れ様です」と近づいていくと、すでに営業さんから話が通っていたのか、受付スタッフがすぐに「お疲れ様です。あちらの方です」と教えてくれた。
お礼を告げ、そちらへと歩き出す。
来客用のソファに、スーツ姿の男性が背を向けて座っている。ざっと見る限り誰かを待っているような人は一人だけだし、あの人だろう。
「佐々木様、大変お待たせして申し訳ありません」
丁寧に声をかけると、ゴホっともったいぶるような咳払いがして。
それから、その相手はすっくと立ち上がってこちらを振り向き――丸い目をさらにまん丸に見開いた。
「え、あれ……まさか、織江?」
ひゅっと喉の奥で音がした。
「さ、さき、君?」
ありふれた苗字だから、チラとも考えなかった。
まさかそれが、キララの婚約者――もしくは私の元カレ――、佐々木彰だなんて。
「まさかリーズニッポンで働いてるなんて思わなかったからびっくりした。キララも教えてくれりゃいいのに。なぁ?」
エレベーターの扉が閉まって2人きりになるや否や、長めの前髪を鏡張りの壁で整えながら佐々木君が言う。
アパレルブランドの御曹司だけあって、さりげなくドット柄の入ったスーツはおしゃれで、よく似合ってる。足が長くスタイル良く見えるのも、スーツのマジックだろう。身長は、私より頭半分高い程度なんだけどね。