ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
いいところまでは何度かいったんだけど、私が怖くなってしまって、ダメだった。
彼は、焦らなくてもいいよ待つから、って言ってくれて。
私はバカ正直にそれを信じ込んでしまっていた。
そしてある晩、ついにその時が訪れる。
久しぶりに仕事が定時にあがれたため、彼のマンションをアポなしで訪れて。
まぁあとは、よくあるテンプレ展開。
合鍵でドアを開けた途端、キララと鉢合わせしてしまったんだ。
――あー……ずっと言おうと思ってたんだけどさ……。
――ごめんねお姉ちゃん! 彰さんを責めないで、キララが悪いの!
彼女が身に着けていたのは、ぶかぶかの、一目でわかる彼シャツ。
佐々木君が気まずそうにその細い腰を抱くのを、私はぼんやり見ていた。
2人の距離は、疑う余地ないくらい男女のそれだった。
いつの間に……?
愕然とする一方で、あぁまたか、と思ったのも事実だ。
日当たりのいい自室、お気に入りのお人形やおもちゃ、洋服、家庭教師の先生、習い事……
そう、彼女に大事なものをとられるのは、初めてじゃない。
だからこそ、彼をキララに会わせないよう、私としても十分注意を払ってた。
卒業後は一人暮らしを始めて、実家にはめったに帰らなかったし、当然彼を紹介もしなかった。
付き合ってる人がいるって、匂わせたこともなかったと思う。
それなのに……合鍵で入ってくる私を見て、キララは驚かなかった。それはつまり、彼女が私と佐々木君の関係を知っていた、ってことでしょ?
どうしてわかったんだろう、あんなに隠してたのに。