ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「古田がただいま向かっておりますので、こちらでしばらくお待ちください」

エレベーターでは、何を言われても右から左で聞き流した私。
無事に目的の会議室へ佐々木君を案内し、あとはお茶の用意だなと退室しようとしたところで、「なぁ」と呼び止められた。

「そういう恰好してると、別人みたいだな。OLコンサバファッション、っていうの? 似合ってるよ」

椅子にブリーフケースを置いた彼が、興味津々、といった風にこっちを見つめてくる。

今日の私は、ごく普通のアンサンブルとスカートだけど。
大学の頃はデニムコーデが多かったし、デパートで働いていた頃は制服だったから、見慣れないのかもしれない。

「なんか化粧も上手くなったし、雰囲気も変わってさ……いいじゃん」

上から下まで鑑賞でもするようにじっとりした目で眺められてなんとなく落ち着かない。無意識に足が後ずさった。

「それはどうも。ただいま、お茶をお持ちしますので――っ」

そそくさと頭を下げ、出て行こうとしたのだが、そこでにゅっと伸びてきた手に腕を掴まれて、固まった。

「ちょ、……何っ?」
「そんなに拗ねるなって」

「はっ?」
す、拗ねる? 私が?

「わかってるって。おれのこと、まだ好きなんだろ?」

はいぃ?
「何言ってるんですか……?」

態度を硬化させる私を宥めるように、ニヤニヤ笑いながら空いている手でポンポンと頭を叩いてくる佐々木君。
全力で嫌がってることに全然気づかないとか、どれだけおめでたいの?

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