ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
「おれに夢中だったもんなァ。今でも覚えてるよ、おれをキララに取られたって知った時の織江の絶望的なカオ。可哀そうだったなー。まぁ、ちょっと見れる外見に変わったみたいだし、たまになら遊んでやってもいいぜ。どうせまだ処女なんだろ?」
ゾッとした。
こんな男と付き合ってた自分が信じられない。
確かに昔から、ちょっとナルシストっぽい自己中なところはあったけど……前はもう少しマシだった。
「冗談はやめて。佐々木君はキララと結婚するんでしょう?」
怒りを抑えて、なんとか穏やかに言ってみるものの、「あぁほらやっぱり。まだおれに未練タラタラだなー」とまったく通じない。
「大丈夫だって。キララはオレに夢中だし、バレなきゃいいんだから」
「バレなきゃって……」
「まぁ一星はもらうつもりだけどさ、正直うるさく縛られたくないんだよなー。ある程度の自由は欲しいじゃん?」
今更だけど、ようやく理解した。
モテモテだった彼が、冴えない私と付き合ってた理由。
それはきっと愛情なんかじゃなくて。
ただ、私の実家の名前が欲しかったから。利用したかったから。
もしかして……ずっとキララの方から誘ったのかと思ってたけど、反対だったのかも? どこかから我が家の事情を仕入れた佐々木君が、キララと付き合った方が今後に有利だって……
ぐるぐる考えていたら、視界に影が差す。
「なぁ、今夜飲みに行こうぜ? 新しい連絡先、教えろよ」
自分の男を見る目のなさに絶望しながら、彼の手を勢いよく振り払った。
「いい加減にしてください。大声で叫ぶわよ?」
そして、思いっきり軽蔑を込めてニヤけた顔を睨みつけてやった。
「……へぇ」
さすがにこっちの拒絶に気づいたのか、鼻白んだ彼は「いいのかよ、そんな態度とって」と唇を醜く歪める。