ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「社長はなんて? スケジュールの変更でもあった?」

秘書としての顔を取り戻して聞くユキへ、「いや、見合い話」と首を振ると、2人は揃って目を丸くした。
「するの?」
「するんですか?」

見事にシンクロした声に苦笑しつつ頷く。

「ま、するだろうな」

「相手はどんな人なんですか?」

「あー……まだ決まってないらしい。これから選ぶって」

投げやりな空気が伝わったのか、2人は顔を見合わせている。

「なんだか自分事だって感じられないほど適当ねぇ」

「いいんですか? 気になってる彼女がいるんでしょう?」

侑吾の言葉に、ユキが反応した。

「山内さんのことでしょう。そうよ、彼女のことはいいの?」

毎日多くの時間を一緒に過ごす優秀な秘書に、オレが誰を見ているか、気にしているか、隠し通すのは難しいらしい。

山内織江、か。

確かに、この渇きにも似たモヤモヤはあまり気分のいいものじゃない。
このまま別の女性と会っても、上手く笑える気もしなかった。

ということは、見合いの前になんとかしなくちゃってことか……


「ユキ」

気持ちを固めるように、カウンターの上で両手を握り締めた。


「協力してくれ。山内織江を手に入れる」


< 85 / 345 >

この作品をシェア

pagetop