ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない
「社長はなんて? スケジュールの変更でもあった?」
秘書としての顔を取り戻して聞くユキへ、「いや、見合い話」と首を振ると、2人は揃って目を丸くした。
「するの?」
「するんですか?」
見事にシンクロした声に苦笑しつつ頷く。
「ま、するだろうな」
「相手はどんな人なんですか?」
「あー……まだ決まってないらしい。これから選ぶって」
投げやりな空気が伝わったのか、2人は顔を見合わせている。
「なんだか自分事だって感じられないほど適当ねぇ」
「いいんですか? 気になってる彼女がいるんでしょう?」
侑吾の言葉に、ユキが反応した。
「山内さんのことでしょう。そうよ、彼女のことはいいの?」
毎日多くの時間を一緒に過ごす優秀な秘書に、オレが誰を見ているか、気にしているか、隠し通すのは難しいらしい。
山内織江、か。
確かに、この渇きにも似たモヤモヤはあまり気分のいいものじゃない。
このまま別の女性と会っても、上手く笑える気もしなかった。
ということは、見合いの前になんとかしなくちゃってことか……
「ユキ」
気持ちを固めるように、カウンターの上で両手を握り締めた。
「協力してくれ。山内織江を手に入れる」