ツンデレ副社長は、あの子が気になって仕方ない

「……へ?」

まぬけな声と共に顔を上げれば、そこに立っていたのは長身の美しい人……って、副社長っ!?
あっという間に昨日の失態が蘇り、その場でフリーズした。

――と、特に理由はありません。誰でもよかった、と言いますか。副社長なら、経験豊富そうだし、お一人と決めた女性もいらっしゃらないように見えたので……

あの暴言の数々を考えるに、まさかこの上私に声をかけてくるなんて思いもよらなかった。

しかも、お待たせ、って何?
まるでもともと待ち合わせてた、みたいに……

「ふ、副社長、あの……?」

こちらの困惑ぶりに気づいたのか、「聞いてるはずだけど」と不思議そうに彼が首を傾げる。

「新しい部屋に案内するって、高橋が説明しなかったか?」

「あ、はいそれは……説明してもらいましたが、どうして副社長が――」

あれ、もしかして……
避難場所(アパート)を用意してくれたのは、高橋さんじゃなくて副社長?

責任感の強い彼なら……いくら暴言女が相手とはいえ、あるかも。
どれだけ優しいのよ!

思い至った私はガタガタっと立ち上がりながら「すすみません! 聞いてますっ」とこくこく頷いた。

「ご心配をおかけしたようで、ご配慮、感謝しています。ですが、今朝も高橋さんに申し上げたのですが、単なる嫌がらせの類ですのでそこまでしていただかなくても……」

オブラートに包みつつも断ろうとした私に気づいたんだろう。
その眉がぴくりと上下した。

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