だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「……おねぇちゃん。そのパン」
「これ? すっごく美味しいわよ。シュヴァルツも食べる?」
「そうじゃなくて、なんで……」
「んん……? あ! 皆に食べたいかどうか聞く前に勝手に食べちゃったから怒ってる……? うぅ、ごめん…美味しそうだったからつい……」
「…………だからぁ」

 そりゃそうよね、唐揚げの檸檬がいらないかどうか聞かずにかける人って非常識な人だもの。私ってば、やっぱり今とても非常識になってしまったわ。
 非常識なだけでなく自己中心的と……うっわ救いようがねぇ。
 食べかけのジャム入りパンを手に、私はシュヴァルツに向けて謝った。しかしシュヴァルツは呆れたように眉根を寄せていて。
 そして何より、皆も似たような顔をしているのだ。この状況に、頭の上でいくつもの疑問符を暴れさせていると。

「なんで誰にも毒味させなかったの?」

 シュヴァルツが私の手元を一瞥して、そう問うてきた。
 ……毒味? だってこれただのパンだよ……? と思う私は、流石にそれは大袈裟じゃあ……と皆の方にもう一度視線を送ったのだが、私の目の前にいる美形達は全員頷くように首を縦に振った。
 しかし私に毒味は不要。何故なら──、

「だって私、毒効かないみたいだから」

 サラリと、そう言えば今までマクベスタにも言ってこなかった事を私はこの場で話した。
 それには全員唖然としていた。シュヴァルツまでもが鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていて、とても珍しく感じた。
 なんだか皆さん信じられないと言いたげな顔なので、私は過去にあった自分の武勇伝(笑)を話す事にした。
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