だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
「純血の竜種ってのは五体しか存在してなくてな、そのうち赤と青は数百年前に人間に討たれ、白は封印。緑と黒は行方知れずって事になってるらしい。まァ……オレサマとてこれはヒトづてに聞いただけに過ぎねぇからもうとっくに白も死んでるやもしれん。だがオセロマイトとやらに広まる呪いは竜の呪いで間違いない。これだけは明言出来るとも」

 そうだ。赤と青の竜は勇者を名乗る者達が討伐した。白の竜はかつてリンデア教が総力を上げて封印した。それは歴史の授業で聞いた話だ。
 しかし……確かに緑の竜と黒の竜の行く末はどの教本にも記されてなかった。本当に行方知れずとなっていたのなら……オセロマイト王国に竜がいてもおかしくはない。
 だが、竜とも呼ばれる存在が死にかけた為に呪いを撒いて生き延びようとするのか……? そもそも誰がどうやって竜を死に追いやったんだ。どうしても疑問が残る。
 この悪魔が草死病《そうしびょう》を竜の呪いと断言出来るその根拠も分からないし……。

「……割かしダセェから言いたくなかったんだが、オレサマも昔、竜の呪いを受けた事があるんだよ。だから竜の呪いには耐性があるし察知する能力にも長けてる。それ故、オセロマイトに近づいて来たからその病が竜の呪いだって分かった」

 本当に恥ずかしいと思ってるのか、悪魔はふいっとそっぽを向きながら話した。
 ……竜の呪いを受けるとか何したんだろうこの悪魔。喧嘩売ったとか……? うわ不遜。

「逆だ逆! オレサマが喧嘩売られたんだよあのクソ野郎に! 急に魔界来たかと思えば暴れだしやがって……あぁ思い出してもイラついて来た。次会ったらもう片方の腕もぶっ飛ばしてやる……ッ」

 私の心の声が非常に気に食わなかったようで、悪魔は勢い良くそれに食い下がった。
 そこで私は思う。緑の竜が草死病《そうしびょう》の原因でオセロマイトにいるのなら……悪魔の言う魔界に突然来たクソ野郎とやらは黒の竜なのでは?
 竜程の存在が目撃情報も無く数百年行方知れずになってるのだ、別の世界に行っていたと言われれば納得出来る。
 もう片方の腕『も』って言ってるという事は……つまりこの悪魔は突然魔界に現れた黒の竜の片腕をぶっ飛ばしたと…………もしかして、こいつ本当にヤバい悪魔なのでは?
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