だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
 フォーロイト帝国の貴族女性の間では、日常で着るドレスも下によく広がる重いドレスで、子供はともかくご婦人達ともなると常日頃からコルセットを着ける羽目になる。
 その所為か中々に窮屈な生活を送っているのだとか(私は子供な上社交界に一度も出た事ないので詳しくは知らないのだ)。

 しかし少しでも自身を美しく見せる為には必要らしく……普段着でもそんな辛い思いをしてるのか……と知った私は、せめて普段着ぐらい楽出来るようにと。窮屈では無いのだけど、でもちゃんと美しく見える楽なドレスがあればいいなぁと思い、それをコンセプトに考えてみた。

 だが私はこれでもかという程に服飾の知識が皆無だ。じゃあ何故制服を考えられたかったって? 多分前世でめちゃくちゃ軍服について調べてたんじゃないかな!
 とにかく私に描けるものは軍服とか前世で見た覚えのある服ぐらいで、ドレスなんてよく分からない。
 なのでハイラやメイシアにたくさん助言を貰いつつデザインの方を考え、シャンパージュ伯爵にお見せしては添削されを繰り返し。

 そして九月頃。ついに私のデザインしたドレスが完成し、シャンパー商会の新たな洋服ブランド『ヴァイオレット』が立ち上げられ、その記念すべき初店舗が帝都大通りに堂々オープンしてしまった。
 私は素性を隠し、シャンパー商会の新人デザイナー・スミレという名で、このブランドの専用デザイナー? なんて謎の立場に収まった。勿論顔出しはしない。何なら年齢も性別も公表しないよう頼んだ。

 私が世に出すものは私がデザインさせていただいた衣服のみ。他は全部シャンパー商会に任せている。
 だがやはり凄まじきかな、シャンパー商会のネームバリューたるや……あのシャンパー商会が突然新たな女性向けブランドを立ち上げたと聞いて、多くの貴族女性が我先にとオープン初日から店に足を運び、そして多くのドレスを手に取ってくださったらしい。
 デザインは私だが、材料も製造も全てシャンパー商会なので圧倒的な安心と信頼がお客様方にはあるようだ。
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