だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜
 お客様からの反応も中々に良く、パーティー等の場には少し不向きだが普段着としてはかなりいい! というか最高! というお褒めの言葉をいただいたと後日シャンパージュ伯爵から聞いて、私も密かにニマニマしていた。
 数ヶ月かけてめちゃくちゃ頑張ってドレスをデザインした甲斐があったと思う。

 ちなみにお金目当てで始めたデザイナー業なので、私はきっちり収益もいただいた。お金の話はハイラが『お任せを!』と張り切った面持ちで言ってくれたので、大船に乗ったつもりでお任せした。
 そして開店より早二ヶ月…………月の総売上からシャンパー商会との取引より引かれた金額が私の元に入ってくる筈なのだが、何だかとんでもない金額を毎月渡されている。ハイラも言っていた、今やヴァイオレットのドレスが流行の最先端なのだと。

 ……まぁ着やすいからなぁ……かく言う私も、デザイナー権限で世に出てない試作デザインのドレスを私服として使い回してるもの。冬服として有能なのよね、これ。
 そして今、私はメイシアより私兵団の制服が全員分ようやく完成したと知らされたので、こうして制服を受け取りにシャンパージュ伯爵家に向かっているのだ。

 メンバーは私とマクベスタとシルフと師匠。
 雷虎《プラズマタイガー》の時にコツを掴んだと語るマクベスタが馬車を運転してくれているので、車内には私と膝の上のシルフ、そして向かいに座る師匠だけがいる。
 ハイラとて忙しいのに、侍女業を教えろと言うナトラとシュヴァルツに望み通り色々と教えているようで……それで最近はこういう外出の際、三人共いない事が多い。

「アミレス、伯爵邸に着いたぞ」

 馬車が止まったかと思えばマクベスタが扉を開けて手を差し出してくる。その手を取り、シルフを抱えながら馬車から降りる。
 後に続いて師匠も降りて、私達は門番の衛兵案内のもと、シャンパージュ伯爵家にお邪魔した。
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