だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜

127.悪友は巡り会う。4

「あ。マクベスタ、イリオーデ、師匠! もー、来るのが遅い!」
「すまん、来る途中で検問に巻き込まれて……」
「到着が遅れました事、深くお詫び致します」
「あの場であの人間達を殺さなかっただけ褒めて欲しいっすよ」

 ぷんぷんと怒りながら遅れてやって来た三人を見上げる。どうやら三人共二回目の水鉄砲《ウォーターガン》には気づいてくれたようで、こちらに向かってる途中で警備隊の検問に巻き込まれていたらしい。
 まぁこんな夜中に歩き回ってたらそりゃあそうよね。

「……ちょっと姫さん、あんた何でこんなに顔真っ赤なんですか? って冷た! 耳とか凍ってんのかってぐらい冷たいけど、どんだけ外にいたんすか?! そもそも何で合図を送ったんですかね?」
「師匠の手あったかい……」
「話逸らさないでもらえます??」

 外気に晒される顔はそれはもう冷えていた。私の目には見えないが、結構鼻も耳も真っ赤になっているらしい。
 それに気づいた師匠が温かい手で私の耳を包んでくれて……本当に温かい。そもそも師匠自体が温かい。流石は火の精霊……歩くストーブだわ……。
 師匠の手が耳を包んでいるから少し周りの声が聞こえにくくなっているけれど、それでも聞こえない事はない。

「お前、マントはどうしたんだ?」
「んー……襲われてた女の子に貸してあげたから今は無いかな」
「王女殿下、私のマントをお使いください。少しは暖を取れるでしょう」
「ありがとうイリオーデ。でも大丈夫よ、それだと貴方が寒いでしょう。私はしばらく師匠にくっついてるから」

 この歩くストーブさんにくっついていたらきっととても温かいだろう。そう思い、私は説教をしようとする師匠の懐に抱きつく形で自ら収まりに行った。
 ああ……思っていた通りとても温かい。お風呂みたいな温かさだ。
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