真夏の夜の夢子ちゃん
蛍の川に近づくにつれ増える人工的な明るさに、洸平は具合が悪くなった。
以前は街灯が少ししかなく、蛍の川は薄暗くて静かだった。
しかし今はどうだ。
工事用の大きなライトがいくつも置かれ、草の根まで見えるのではないかというくらい明るく照らされている。土手の下に設けられたプレハブ小屋には作業着を着た人たちが出入りしており、何だか騒がしい。
お盆真っ只中の、しかもこんな夜になってまで工事関係者がいるなんて。そんなに急いで、この川を埋めたいのだろうか。
洸平は周りを見渡した。
すると少し離れたところに、まだあのバス停はあった。
弱々しい光を放っていた蛍光灯はついに切れてしまったのか、バス停の中は真っ暗だった。御役御免となったバス停にはもはや、明かりを灯す権利すら与えてもらえないのか。
あの子にはもう会えないかもしれない。
そんな恐怖にも似た感情が、洸平を襲う。
こんなふうに変わってしまったこの場所には、もうあの子は来ない気がする。
バス停の向こうに佇む黒い山を見上げた。
もしかしたら、もうすでにどこかに引っ越してしまったかもしれない。
胸がキュッと締め付けられる。
こんな感情は初めてだ。
あの子のことが好きだ。未だに名前もわからないし、これから知ることもできないだろうけれど。
せめて好きって伝えたかった。
ものすごい喪失感と後悔。
もうここに来る意味なんてない。
洸平はため息をつきながら、来た道を戻り始めた。
土手の下を見下ろしながらゆっくり歩く。
蛍の光は見えない。
寂しい。
ひどく寂しい。
急に目頭が熱くなって、洸平は顔を上に上げた。満天の星空。
きれいだな、と思ってしばらく見上げていると、風に乗ってお囃子のような音が聞こえてきた。
川の向こう岸に目をやると、ぼうっと、いくつもの灯りが揺れている。
保育園のころだったか、向こう岸の神社の祭りに母親と行ったことがあるのを思い出した。屋台も出ていて、それなりに賑わっていた記憶がある。
洸平の足は自然と、向こう岸に渡る橋の方へと歩き出していた。
以前は街灯が少ししかなく、蛍の川は薄暗くて静かだった。
しかし今はどうだ。
工事用の大きなライトがいくつも置かれ、草の根まで見えるのではないかというくらい明るく照らされている。土手の下に設けられたプレハブ小屋には作業着を着た人たちが出入りしており、何だか騒がしい。
お盆真っ只中の、しかもこんな夜になってまで工事関係者がいるなんて。そんなに急いで、この川を埋めたいのだろうか。
洸平は周りを見渡した。
すると少し離れたところに、まだあのバス停はあった。
弱々しい光を放っていた蛍光灯はついに切れてしまったのか、バス停の中は真っ暗だった。御役御免となったバス停にはもはや、明かりを灯す権利すら与えてもらえないのか。
あの子にはもう会えないかもしれない。
そんな恐怖にも似た感情が、洸平を襲う。
こんなふうに変わってしまったこの場所には、もうあの子は来ない気がする。
バス停の向こうに佇む黒い山を見上げた。
もしかしたら、もうすでにどこかに引っ越してしまったかもしれない。
胸がキュッと締め付けられる。
こんな感情は初めてだ。
あの子のことが好きだ。未だに名前もわからないし、これから知ることもできないだろうけれど。
せめて好きって伝えたかった。
ものすごい喪失感と後悔。
もうここに来る意味なんてない。
洸平はため息をつきながら、来た道を戻り始めた。
土手の下を見下ろしながらゆっくり歩く。
蛍の光は見えない。
寂しい。
ひどく寂しい。
急に目頭が熱くなって、洸平は顔を上に上げた。満天の星空。
きれいだな、と思ってしばらく見上げていると、風に乗ってお囃子のような音が聞こえてきた。
川の向こう岸に目をやると、ぼうっと、いくつもの灯りが揺れている。
保育園のころだったか、向こう岸の神社の祭りに母親と行ったことがあるのを思い出した。屋台も出ていて、それなりに賑わっていた記憶がある。
洸平の足は自然と、向こう岸に渡る橋の方へと歩き出していた。